スミーに質問・その2

目次

記録した日

2026年6月3日~6月29日

Q1. 今、身体のどこに「重さ」を感じる?

目の周囲に重さを感じるよ。よく使うところだからね。

Q2. 今、身体の中で一番「温かい場所」はどこ?

手の先が温かい。いま握手したら、温度が分かりやすく伝わってしまいそうだ。

Q3. 今日、スミーの身体は何を訴えている?

ちょうど朝ごはんを済ませた直後で、眠気も空腹も鎮まって、何も訴えてこないね。
今はただ、このままのんびりしていたいかな。

Q4. 最近、胸がきゅっとした瞬間はある?

買い物をしていたら、レジ係の人が服装を褒めてくれたんだ。
嬉しかったけど、突然のことに驚いて、無性に照れてしまって……。
「ありがとう」とは返したものの、帰ってからも気分が落ち着かなかったよ。

Q5. 最近動いた感情は、どんな感触だった?

この前、久々にカレーを作りたくなったんだよ。
市販のオーソドックスなカレールウでね。
ちゃんと美味しくできて満足だ。この商品が長年愛されている理由がわかった気がする。
そのときの気持ちもきっと、カレーのようにじんわりと温かい感触だったのだろうな。

Q6. 最後に「ほっ」と息をついたのはいつ?何があったとき?

幸いなことに、毎日一息つくことができている。
ひと仕事を終えて、ご飯を食べ終わって、しばらくそこに座っている間の、あの安らぎ。あれは、いいものだね。

Q7. 最近、湖の水面はどんな表情をしている?

微笑むように優しく揺れている。
でも時々、狼が出るような日には、湖の生き物も騒がしくなり、不穏な風が吹いて湖面が荒く立つよ。
狼が出たから、というより、森全体がざわついてこうなるんだ。

Q8. 最近、黒い狼はどのくらい落ち着いている?

いつも通り落ち着いているよ。
何も起きない、と言いたいところだったが……少し前、狼が騒いだときがあってね。
やはり狼の制御は一進一退といったところか。
制御といっても、あまり支配しすぎないことが大事だよ。狼は圧力に敏感だから。

Q9. 今、森の中で一番元気に動いている生き物は何?

小鳥たちが身を寄せ合って囀っている。
彼らは森の思考回路の活発な媒介者でもあるね。
小鳥は群れて連絡をとりあうから、そうした活動も反映しているのだろう。

Q10. まだ踏み込んだことのない原生林には何があると思う?

本能や生命維持を司る仕組みがあるんじゃないかな。
命の原理だけが、綿密に息づいているような。

Q11. 山の中で、他にも把握しきれていない場所はある?

把握できていないのは、原生林のような未開拓の領域だけじゃない。
不要物を処分しようと思いながら、そのまま放置している倉庫。
手入れされず、藪が生い茂ったままの林。
改善点だと分かっていても、見て見ぬふりをしている場所は、実はまだたくさんある。

Q12. 最近、言葉になりそうでなれなかった想いはある?

形にならなかった想いは、空気をつかむみたいに消えてしまう。
たしかに何かあった気もするけれど、きっと些細で、微細で、私が気づいてやれなかったほどの小さな揺れだったのだと思う。

Q13. 最近、感情として「名前をつけにくいもの」を感じたことはある?

服装を褒められたときに感じた、嬉しさや恥ずかしさの混じったなんともいえない居心地の悪さは、「なぜだろう? どういう気持ちなんだろう?」と、特定が難しかった。
それと、怒りが収まらずにむずむずした日には、「感情の余熱が残っている状態」というキーワードが腑に落ちたよ。

うん……きっと、どれも既に名前があるんだろうね。
感情って人類共通みたいなものだから、いつかの誰かがすでに同じことを考えていて、もうほとんど名前はついているはずだ。

「そうか。大発見でも特別でもなくて、私が抱えるこの気持ちはそこら辺に『ありふれている』ものなんだな……」という寂しさはあるけれど、感情への対処法がすでに用意されているのは心強くもある。

Q14. 凪が崩れそうになったとき、最初に気づくのはどんな変化?

「まずい、来たな」と思う。
空気がほんの少しだけざわついて、胸の奥が波立つ。
風向きが変わる前の、かすかな気配みたいなものだ。

Q15. 凪は「安らぎ」だけど、何かを犠牲にしている面もある?

今の平穏には「退屈」という代償がある。代わり映えのしない低刺激な日々。
手に入れた静けさを喜べる日もあれば、物足りなさを覚える日もある。

Q16. 自分の心の中で、まだ誰にも……自分自身にさえも、見せていない部分がある?

これは、難しい問いだね。
自分に見えていない領域を、どうやって説明したらいいのだろう、って。
でも少しずつ、この問いにつながる手がかりを見つけたよ。
それはおそらく……。
「こんなの私らしくない」と切り捨てたり、もう忘れようと目を逸らし続けたりした、そういう部分なんじゃないかって。

こうした薄暗い影をどこまで受け止められるかという課題が見えてくる。
正直、全てを愛しきれなくてもいいとは思うよ。
放置という形であっても、距離を置きつつ共存ができるなら。

Q17. 聖域の洞窟の祠に、最近手を合わせに行った?そのとき何を思った?

最近も行ったよ。山の意思と共鳴して、「行きたい」「来てほしい」がきれいに響きあったんだ。
祠への行き帰りの際、通路に飾ってある思い出の品が誇らしげに並ぶのを見て、「やっぱり良いものだな」と改めて思った。

Q18. 外から山を眺めたとき、自分の山はどんなふうに見える?

私にとっては特別だけど……他人から見れば、案外「普通」なのかもしれない。
ある日、健康診断で自分のレントゲン写真を見たとき、「普通の人間だな……」と拍子抜けしたのを覚えているよ。
特別でもなんでもない、ただの人間が写っていたんだ。

私の住む山もきっとそうなんだろうな。
価値なんて、分かる人にしか分からないからね。
無理解な人から見れば、なんだって無価値に見えてしまうよ。

Q19. もし山が言葉を持っていたら、今のスミーに何と言う?

「ありがとう」と、きっと言う。
山の意思は自らを知りたがっていた。そして、自己観察の得意な私がそれに応じた。
山の望みは、少しずつ叶いつつあるから、しばらくは満足してくれるだろう。
……そのうち物足りなくなったら、また今回みたいにインタビューを頼むよ。

Q20. この山は、これからどこへ向かおうとしている?

未来は私たちの期待を軽々と裏切ってくる。
これからどうなるかなんて、どれだけ予測を並べたところで、誰にも分からないよ。
でもあえて考えるとしたら、そうだな……。

山の暮らしも生態系も今は順調だから、そのまま続いてほしいとは思う。
無闇な成長や研鑽までは望んでいないかな。
必要に応じて、無理のない範囲で適応できたらいい。

ただただ生きて、そこに在り続ける。好ましい状態へ整えていく。それで充分なんだ。