スズハの影
2022年5月2日
近況
スズハさんの……家庭内暴力にも似たあれやこれやな荒れ具合が……キイクーが側についてても限界があるのだ
好きな作業に没頭していればそれが薬になる。
すこやか対人関係はもっとよい薬なんだけど、今は無理です今は。もーちょい後でね。
本題
あんまり「影」として固定するのもまずい気がするけど……
スズハの影(仮)には少なくとも二種類ある。
片方はいつものスズハさん。もう片方は建造物の残骸。
人型の影は何かしらの失意をこじらせてしまってて、「人は信用しない」と高らかに、繰り返し、語りかけてくる。
スズハが宝船の寄贈に失敗したことで確信を強めたばっかりに、悲痛な陰湿さがエスカレートしている。
さすがのキイクーでも策が尽きて困ったな~というのが先月までのあらすじ。
もう一つの影である巨体な残骸は、その寄贈した船の成れの果てのようなもの。
贈った実物とは別のコピーというか、フィードバック、控え、ともいう。
船の寄贈プロジェクトが実際に喜ばれたかどうかとは関係なく「どうやらウケなかったっぽい……」とスズハが察した(悪い想像をした)ことで発生。
全体的に真っ黒で、電信柱くらいの大きさ?
形状は壊れた船体から柱が突き出た、磔のような形状。
スズハに似た何者かが先端に刺さって血を流している。
船型の影からは不定期に梵鐘のような鈍い音が鳴る。「ゴメンナサイ…………」とも聞こえる。
影の扱いに慣れているキイクーは「ああ、時報の鐘だね!」で済ませている。
これは一見すると軽く扱っているようにも見えるし実際軽いのだけど、それ以上の信頼を得ている前提がキイクーにはあるよ。(癒着もあるけどネ)
深刻に扱いすぎるのも悪化を招くし、かといって放置して済むものでもないし。
塩加減はほどほど肝心。
むやみに非難しない。暴れた手札を外に漏らさない。ふわふわハードクッションの防壁。これこそがキイクーの流儀。
噛まれてもいつもの呑気顔で受け止める。
安全な形で噛みつかせたまま、(そうしたい事情はわかるけど……他所では絶対にしないって約束だからね)と言い聞かせる。
寄贈した船には、設計に携わったスズハとキイクーのありったけの配慮と愛情がこもっていた。
それそのものはどこに置いても恥ずかしくない、誇らしいモノとして送り出したはずだった。
しかし今では呪いの品へと落ちぶれて、目にするたびに苦痛をもたらす、まるで磔刑のような形で虚空を漂い続けている。
ただの船じゃなくて寄贈用に物資が積まれた宝船(概念)だったのです。
2022年6月20日
幻影
ボオォン・・・ ボオォン・・・
2022年7月20日
寛解
ボオォン・・・
- 水 「今度の開国は必ず成功する 一生ものの名誉になる」
- 水 「……なんて そんなことはなかったわ」
- 水 「あんな船を送り出して バカみたいに期待して 一喜一憂してしまった……」
- 水 「それで気付いたの」
- 水 「私ったら あの世界のヒトたちに恋をしていたのかもしれないわ」
- 水 「ヒトかどうかも分からないけれど」
- 水 「……ダメね 今回も」
- 水 「やっぱり恋なんて するものじゃないわね」
ボオォン・・・
- 水 「相手が喜ぶかなんて 本当に博打」
- 水 「結局は自分のこと以外を 正確に読み取ることはできない」
- 水 「くどいくらいに大きな情報量から 断片を伝えて さらに一部を拾う」
- 水 「純粋な好意であっても そうよ……」
- 水 「その行動の真意を掴めずに 一度は疑ってしまったから 腹の探り合い」
- 水 「この無念も 焦燥も…… 全部」
- 水 「周りの知ったことではないわ」
- 水 「……」
- 水 「私のほうこそ 素直に喜べなかった ということなのね これは」
- 水 「相手が拒絶したのかどうかさえ 本当は分からない」
- 水 「分からないというのに……」
~おわり~