キイクーの頼り先
2022年4月1日
話は変わってタイナとキイクー。今日は珍しく「冷静なタイナ」の出番があった日。
いつものように水金コンビが一緒にいて、いつものようにスズハがエラーログをこぼしていた午前のこと。
キイクーよりも自分のほうが「病み慣れているから」と言って、キイクーのエラーもスズハが拾って表現していた。
「病み慣れていない」キイクーが自身の状態異常に直面したときは、まず焦りを起こす。ぐるぐる心配して、あれこれ気にして、発散方法に頼る。
手札エラーの扱い癖
タイナ……悲しみ、空虚
ツィシー……無関心、自己完結
スズハ……拒絶、他責
キイクー……焦り、逃避
カイツ……強情
ただ、火星が候補に入るような激情であっても、いつもの火星兄さんはその手札で表現することを好まない。飄々としたキャラを貫いている。
ちょっと反抗して終わり。スズハ的なキレ方とは全く異なる。
キイクーは回復手段の要でもある。寝たらリセットできる人。
その防波堤が壊れると大変なので、負の感情はスズハ達に任せて、それをキイクーが寛容に流すスタイルで安定していた。
しかし、ここしばらくはスズハの様子が危なっかしい。
何でもかんでも拒絶したり、「こう言ったらどうせ○○って言うんでしょ」と激昂したり、キイクーに預ける本音(?)は段々エスカレートしていた。
荒んだ最中のスズハを「どうにかする」のは火に油で、キイクーもそれを今までにも経験しているので無理に動かしたくはなかった。
だけどもう、手に負えないほど攻撃的になっている。
キイクー流の慰めテクニックだけでは足りない。抱えきれない。どうしたら……
助けを必要としたキイクーは、ミイサに頼ることも考えた。
しかし遠慮もあって諦めた。こちらの都合でいきなり呼び出し、慰めを要求することを。
次の頼り先候補はタイナ。こちらを選んだ。
ミイサよりもずっと身近な存在で、多少の無茶も許せる仲だ。
とはいえ、しょっちゅう「病む側」だったタイナを頼るのは、お互いにとって珍しいこと。
一昨年の倫理疫がすっかり落ち着いた今だからできる選択だった。
先月はタイナのしゃべる出番が少なかった。ずっと水金コンビで回していた。
そんなタイナを呼び出したところ、声が遠い。言葉が不明瞭。セットアップに時間がかかっている。
- 太17 「……。……って、……ので……」
- 金19 「急にごめん。寝起きだったかな」
- 太17 「いえ、…………。今……」
- 太17 「久しぶりですね。どうしましたか?」
「最近スズハが怖いんだ。助けを借りたい」
……結局それを言うことはなかった。本題にもかかわらず。
ただしばらくの時間、タイナとキイクーは二人きりの時間を味わっていた。
そうしているうちにキイクーはいつもの親密さを取り戻し、助けが必要なくなるほどだった。
タイナもスズハの事情は察していて、取れる手段の限界もわかっていた。つまりキイクーとほとんど同じ立場。
タイナの受け答えは頼もしい印象だった。珍しく、久々に。
キイクーは手札の異変で頭痛を起こすことがある。
巫女さんのサイキック頭痛……ではなくて今回は、スズハが強く荒れたのと、タイナの召喚(?)にメモリが割かれたのがきっかけかも。
「傷口に手を加えるのは後でもいい。それまではスズハたちが普段通りに落ち着けるペースを整えよう」
「そうすれば、わざわざ凶器を使わなくて済むだろうから」
この日、タイナとキイクーはそう結論づけた。
ただ、傷がもたらす安全防壁や快楽も知ってる奴らですから、リバウンド的な一進一退はどうしてもある(前言台無し発言)
これらはセンシティブ回なのでセリフだけ全集の対象外。