水金雑談、もしも霊魂が「どこか」にあるとしたら?
はじめに補足
キイクーとスズハのカジュアル問答。
- 水 「あんた、前にもそんなこと言ってた気がするわね。全体がどうのって」
- 金 「うん。その延長線みたいな考えだよ!」 (※ 参考 → 本心の象徴はどれ?)
2021年10月27日
- 金 「魂は体全体にあると思うんだ!」
- 金 「ビルと会社、スタッフとイベント、文字と意味、楽器と音楽のカンケーみたいな」
- 水 「後者が魂ってことね?」
- 金 「そう!」
- 水 「じゃあ、もしも神経回路が断たれている箇所で、あるはずの刺激を全く感じていない場合はどうかしら?」
- 水 「刺激を与えるモノの存在は、刺激を受けているはずの本人と、その魂にどう影響しているというの?」
- 金 「どうなんだろー。モノと本人とで別々なんじゃないかなぁ? 少なくとも、動かすしくみは別々にあるよ」
- 水 「本人の体が損傷するほどの刺激だったら?」
- 金 「あ。それって、意識にはのぼってないけど、あたしが定義している魂の一部を削ってることになるケースだね」
- 水 「そうね。例えば、くすぐられても無反応だとか、性的に不感だとか、麻酔ありの切開手術だとか。現場の細胞たち……肉体の末端ではざわめきを起こしている可能性があっても、大筋の記憶としては残りにくく流される。あなたの思想では肉体との関連性が濃いようだけど、その魂はどっちの立場なのかしら」
- 金 「へえー。じゃあさ、もっと広い例だと、どっかの森で火事だったとか、誰も通らない道路が崩れたとか、知らない間に社員が沢山やめてたとか、実は大損してても……中枢には全然気づかれなくて、痛くも痒くもないって場合かな?」
- 水 「だいぶ広がったわね」
- 金 「アハハ。これはもう魂っていうより、モノの性質?って言い換えたほうが合ってそーだなー」
- 金 「でもさ、その例え話であたしの定義の境界線が揺らぐってことがわかったから、あたしにとっての魂は、意識でわかる部分が全てとは限らないのかも」
- 金 「それで気づいたんだけどさ、あたしが言う魂がどこまでの範囲かって、アバウトなんだよねー……」
- 水 「どういうこと?」
- 金 「伸びた爪は? 精子卵子は? 髪の毛は? 住んでる善玉菌は? それが老廃物で出ていったらノーカウントになっちゃう? もし寄生虫と一体化してたらそれも含むことになる……? みたいな」
- 水 「……益々どういうこと!?」
- 金 「自分でもわかんなくなっちゃった!」
- 水 「会社のたとえで整理してみるわ。会社を辞めたらそこの社員ではなくなるんでしょう? 社員だった人間があるだけ」
- 水 「あんたが言うところの魂、その一端を支えていた細胞が出ていったら、魂の枠組みからは分離されて、無所属の独立した存在になるのかしら」
- 金 「あっ、それいいねー。その人だったものが、その人じゃなくなる瞬間だ!」
- 金 「そこの扱いがなーんとなくアバウトだったわけで、『その人自身』と『その人の所有物』との境界線が、溶けてて」
- 水 「あんたはそこを溶かすのが嗜好だものね」
- 金 「ポリシーって言ってよね!」
- 水 「言わない」
- 金 「そうだ。今のとは真逆の話にかわるけど、物質じゃない部分も魂の一部に入れたいなー」
- 水 「霊体ってこと?」
- 金 「ううん、もっともっと実体がなくて、考え方でしかなくて……無いけどある、信じれば見える、幻覚っていうか」
- 水 「霊体もそうなんじゃないの」
- 金 「そこは信じ方によるからノーコメントでっ」
- 金 「さっきの会社の例えだとね、抜けたメンバーの空き枠も、その会社の一部としてまだ残ってる。残り香てきな、型がついたみたいな」
- 金 「あと、腕の先がなくなっても『まだある』ように感じちゃう例だったり、楽曲に使われていないはずの音色や声みたいなものを、音のハーモニーが偶然生みだして心霊騒ぎになる例だったり」
- 金 「そういう幻も、魂の一部ってことにしたいんだー」
- 金 「生態系みたいに全体像が生まれて、それを保つためにまた補完して……そうだ、補完!」
- 水 「生態系、全体像、というのもあんたが伝えたそうなキーワードに見えるわ」
- 金 「人間が一つの箱庭みたいなやつ~」
- 水 「それにしても、補完……ねぇ」
- 水 「それと錯覚、誤解、思い込み。でしょ」
- 金 「えー。本人の『あるはず』は尊重したいな~」
- 水 「私は反対。収拾つかなくなるから」
- 金 「確かに!」
- 水 「かといって別に真実で叩き殺すつもりもないのよ」
- 金 「あっははー。極端なんだから~」
- 水 「その両方が人の性なのは仕方ないわ。それでも、肯定も否定もほどほどにしないと、バイアスに狂わされてしまう」
- 金 「やだー、痛いところ突かれたあ」
2021年12月11日追記
- 金 「ちなみにスズハは、魂ってどんなのだと思う?」
- 水 「あまり考えたことがないの。あんたと魂の話をするなんて、一生ないと思っていたもの」
- 金 「えーそんなぁー」
- 水 「昔に知って影響を受けたのは……そうね、幽霊や霊魂としての、魂の姿」
- 水 「形は何でもいいのだけど、とにかくそういうのが『居る』のだと。そう信じていたわ」
- 金 「ご先祖サマが庭を歩いてたりとかねー」
- 水 「そうそう」
- 水 「だけどいつの間にか、それを信じなくなってしまった。どうしてかは分からないけどね」
- 金 「サンタさんや妖怪を信じなくなる、みたいなコトなのかなー?」
- 水 「それもあると思う」
- 金 「ま、うちの胎魚国は化け物ばっかりだけどねー!」
- 水 「それを言うのは無しよ! 幽霊も妖精も祟り神も普通にいるけど、そういう生物だと思えばいいから! 私だって半分妖精なのよ」
- 金 「あはは。意地悪な例えを出しちゃってごめんね」
- 水 「思想や概念としては信じているのよ。居るというよりも、『ある』という方向に」
- 水 「例えばその、サンタや妖怪は分かりやすい例だわ」
- 水 「その存在が本物か偽物かはどうだっていいの。居ても居なくても、居ることにしてる。物語として、認識の中に。それでも十分だと思ってる」
- 金 「とっくに割り切っちゃったんだ?」