テンナの酒癖
2021年11月17日
テンナの弱点は「睡眠」「酒」「ミイサ」。特に睡眠。
酒の効果で簡単に眠ってしまうし、無防備になる。
酒にはそれほど強くないものの、ショットであおるようなキッッッツいカクテルが好物。それですぐ寝るので尚更、酒に弱く見られがち。
本人は無理しても全然平気だと思っている。酔いつぶれたときの記憶がないから……。
酔うと散々くだを巻く。たまには複数の飲み友達が参加し、互いに我を忘れるほど日頃の鬱憤を晴らし合う。
このときに火星の手札(カイツのような口調や怒り方)をかなり使うため、実はテンナにも火星疑惑がある。「呑みテンナ」冒頭のセリフにその片鱗あり。
しばらく経てばコロッと爆睡。多少揺すってもなかなか起きない。ミイサいわく、命に別状はないらしい。
最初の頃こそ、人体実験ついでにバイタルチェックも念入りに行っていたミイサだったが……そのうち「心配して損した」なんて言うほど。
見かねた友人(特にミイサ)と店主が密かに手を組み、香りや味が強いスパイスを使った特製リキュールを用意したり、ノンアルコールかつ酸味の効いたものとブレンドするなどして、度数を抑えつつ「強い酒」と同様に楽しめる工夫が仕込まれているらしい。テンナはそれでも上機嫌のようす。
テンナの酒癖、本人たちに都合がよすぎるという意味では海王星の加護をもらっているのかもしれない。
記憶を飛ばすレベルの憂さ晴らしを求めるくらいには、日頃から堅い自制を貫いているのだろうか。
酒の力を借りなければ羽目を外せないくらいには、冷静沈着をよしとする矜持や強がりがあるのだろうか。
そしてそこから無意識に、秘密裏に脱走を試みる。
そんな欲望もくすぶらせてしまうくらいには、彼なりの情熱を手放すこともできず、矛盾した二重の望みを抱え続けているのだろうか。
土星的支配の下敷きにはなりきれない、最後に開く反逆者の火花がそこにある。
(テンナの酒癖 ~おわり~)